自分の中に潜む「5つの顔」(All About – 08月29日 08:54)

All About

仲の良いカップルには、「NP」「FC」な会話が多い
仲の良いカップルには、「NP」「FC」な会話が多い■あなたの心には「5つの顔」が潜んでいる

 「人と、なかなかいい関係を築けない」
 「嫌な面が気になって、人付き合いから逃げてしまう」

 そんな気持ちを抱いている人は、自分や周りの人の性格を少しじっくり観察してみましょう。

 精神療法のひとつである「交流分析」では、人の自我を5つの機能に分け、その強弱や組み合わせによって、心の状態が分かると考えています。誰の心にも潜む5つの機能(5つの顔)をまずご紹介しましょう。

(1)【CP】支配的な親(Critical Parent)

 規則や伝統を重んじ、厳しさを持って自分自身や他人に接することができる自分。ときに、権威的、威圧的になりやすく、融通がきかない面も持ち合わせている。いわゆる「昔ながらのおやじ」タイプ。

(2)【NP】養育的な親(Nurturing Parent)

 思いやりがあって、相手を受け入れ、やさしい言葉をかけることができる自分。ときに、世話を焼きすぎ、親切の押し売りをして、うざったく思われる面もある。いわゆる「ニッポンの母」タイプ。

(3)【A】成人(Adult)

 状況をよく観察し、論理的、合理的に答えを出すことができる自分。思慮深いが、ときに冷静で打算的すぎて冷たい印象もある。いわゆる「クールな大人」タイプ。

(4)【FC】自由な子ども(Free Child)

 好奇心が強くて自由な発想を持ち、行動も自由。創造性も豊かで、それを表現できる。ときに、軽率すぎて周りに迷惑をかけ、自分勝手な振る舞いが目立つこともある。いわゆる「やんちゃっ子」タイプ。

(5)【AC】順応した子ども(Adapted Child)

 控え目で協調的。自分を主張するより、周りに合わせるタイプ。ときに、指示待ちになりやすく、妥協しやすい面もある。また、ストレスの反動から態度ががらりと変わることもある。いわゆる「いい子ちゃん」タイプ。


 このように、1人の人の中には5つの機能があり、どれが強く出すぎ、どれが弱すぎるかによって、人間関係への影響が変わってきます。

■ドラマのキャラクターも「5つの顔」に分けられる

 たとえば、定番のホームドラマを見てみると、メインの登場人物がおおむねこの5キャラに分けられ、際立たせて描いていることが多いと感じます。

 国民的映画『男はつらいよ』のメインキャラクターを私なりに分析すると、次のようになります(重なるキャラクターもあります)。

(1)【CP】支配的な親(Critical Parent)……おいちゃん、博
(2)【NP】養育的な親(Nurturing Parent)……おばちゃん、櫻
(3)【A】成人(Adult)……博、御前様
(4)【FC】自由な子ども(Free Child)……寅次郎、タコ社長
(5)【AC】順応した子ども(Adapted Child)……櫻、満男

 また、長寿アニメ番組の『サザエさん』を例にとると、こうなります。

(1)【CP】支配的な親(Critical Parent)……波平
(2)【NP】養育的な親(Nurturing Parent)……フネ
(3)【A】成人(Adult)……波平、フネ
(4)【FC】自由な子ども(Free Child)……サザエ、カツオ
(5)【AC】順応した子ども(Adapted Child)……ワカメ、マスオ、タラオ

 このように、よくできた定番ドラマの中には、交流分析でいうところの「5つの機能」がきちんとメインのキャラクターに振り分けられていて、あますところなく人間関係のやりとりを楽しむことができます。

■キャラクターの解釈には要注意!

 もちろん、生身の人間のキャラクターは、ドラマのように一元的ではありません。自分の中に色々な面があり、時や場所によって他の個性が現れたり、別の個性が育っていったりします。それこそが、人間の奥深さであり、面白さです。

 そのため、「自分はこういうタイプ」「この人はこういう人」と決めつけすぎて、1人の人をいつもその角度から眺めるのはよくありません。また、一つの機能の悪い面だけに注目して、偏見を持つのもよくありません。

 5つの機能は、あくまでも人との交流の中で自分が普段とりやすい心の機能を知り、また他人のそれを知ると、人間関係における自分や相手の考え方、気持ちを把握しやすくなる、という点で便利なのです。

 この「5つの機能」を知るには、通常、「エゴグラム」というチェックシートを利用しますが、インターネット上でも無料で利用できるものがいくつもありますので、複数試してみるといいでしょう。ただし、シートによって結果がかなり異なり、解釈も正確とは言えないものがあるので、あくまでも参考程度にとどめておきましょう。

■熱くなった人間関係は、クールに解決すべし

 ところで、人間関係のいざこざは、たいてい【A】成人(Adult)の機能の不足によって起こります。

 たとえば、映画『男はつらいよ』では、毎回、トラブルメーカーの寅さんが登場すると、おいちゃんが怒鳴り、おばちゃんが泣き、櫻がオロオロし、タコ社長がかき回して、家庭内の雰囲気がめちゃくちゃになってしまいます。

 そこで、読書家の博が偉い人の言葉を引用したり、また櫻が御前様に相談することによって、みんなが納得し、問題が鎮静化していきます。これらは、【A】成人(Adult)の機能がうまく働いている例です。

 今ある人間関係のいざこざも、最初のページにある【A】成人(Adult)の機能を働かせることによって、解決しやすくなります。

 今ある人間関係に、そのキャラクターが実在していなくてもいいのです。自分自身が【A】成人(Adult)の機能を意識し、熱くなった、または冷え切った問題を冷静に現実的に見つめてみましょう。すると、自ずとそのいざこざに必要な対処や解決策が見つかってくるはずです。

 ぜひ、身近な人間関係で試してみてください。人付き合いが、もっと楽になるでしょう。

【ストレスガイド:大美賀直子】